グローバル市場で
推進する「銀証連携」。
米国でのプレゼンス向上、
そして欧州、アジアへ。

みずほ証券のグローバルビジネスの概要を紹介してください。

塚本: みずほ証券のグローバルビジネスは、米国、欧州、パンアジアを基軸に一層の収益力強化を目指しています。米国はニューヨークの米国みずほ証券、欧州はロンドンのみずほインターナショナル、パンアジアは香港とシンガポールのみずほセキュリティーズアジアとみずほセキュリティーズシンガポールが投資銀行とマーケットビジネスを展開しています。いずれのエリアでも、みずほ銀行とみずほ証券が業務やサービスを連携してビジネスの相乗効果を上げる取り組みである「銀証連携」を強化しています。

みずほのグローバル市場における「銀証連携」の現状を教えてください。

塚本: 最も進んでいるのは連携推進に早くから取り組んでいる米国です。投資銀行部門で言えば、銀行の融資先に対してローンから債券調達に切り替える提案を行っていますし、マーケット部門で言えば、銀行と証券で別々だったデリバティブプラットフォームを一体化運営することで、事業法人や機関投資家に対しサービス提案力を強化しています。またフロントビジネスの連携に合わせ、組織やガバナンスなどの管理体制もシンプル化や一本化することで、より一体性を高めています。

欧州市場はどのような現状でしょうか?

塚本: 欧州も、他地域と同様銀証連携を進めています。一方で、みずほインターナショナルのカバー範囲はEMEA地域全体です。各国ごとで規制などのルールが異なることや、顧客ニーズも多様性しており地域特有の難しさがあります。限られたリソースの中でそういった難しさに対応するには、地域内での連携のみならず、みずほグループのビジネス基盤を最大限活用しながらあらゆる施策を推進していく必要があり、日々みずほインターナショナルと連携しながら取り組みを進めています。

山積する経営課題の
解決に取り組む。
みずほ証券が着手した
次世代金融事業。

グローバル戦略部の業務内容と役割について教えてください。

塚本: グローバル戦略部は、経営企画部や財務企画部、フロント部門等あらゆる関係部門と協働し、みずほ証券グループの経営戦略や業務計画などの策定と推進を担っています。海外拠点に跨るグローバル戦略も所管しています。その役割を端的に示せば、みずほ証券のビジネス全体を見渡し、関係部と連携して経営課題の解決に取り組む部署と言えます。山積する経営課題の解決に向けて社内で議論を重ね、アクションを起こしていく。グローバル戦略部はその旗振り役を担います。

塚本さんご自身が、主体的に取り組んだ具体的な案件を教えてください。

塚本: みずほ証券のリテールビジネスは対面による資産運用コンサルティングが主軸で、お客さまの中心は60歳以上の富裕層です。高齢社会の日本においては引続きリテールビジネスの中核になりますが、一方で、ネットやスマホ証券が更なる勢いを増す中、新たに資産形成を始める方も増えています。こういった社会や業界構造の変化に対応した取り組みが必要と考え、私たちはソフトバンクとの協働プロジェクトとして、すでに出資していたスマホ証券である「One Tap Buy」に増資し(2021年2月に「PayPay証券」に商号を変更)、共同経営体制を発足させました。今回の取り組みは、本格的なスマホ証券への参入であり、みずほ証券の次世代金融事業への船出と位置付けることができます。

若年層を取り込むことを目的としたプロジェクトなのですか?

塚本: 広く言えば、投資未経験者や初心者にも利用しやすい資産形成の場を提供することが大きな目的であり、「貯蓄から資産形成へ」という流れを加速させることを目標にしています。パートナー会社と〈みずほ〉のリソースやノウハウ、顧客基盤を活用して、スマートフォンを軸とした、生活シーンと金融事業を融合した新たな次世代金融サービスを提供していきたいと考えています。

プロジェクトを振り返って得たもの、学んだことは何でしょうか?

塚本: 今回のプロジェクトは、パートナー会社とともに、みずほ証券だけではできない新しい証券会社を生み出す取り組みです。「どのような会社にするのか」。そのコンセプトづくりからプロジェクトは始まりました。異業種のパートナー会社と取り組む良さは、証券業に対する固定概念のない柔軟で豊かな発想力です。一方で、当然ですが業態も異なることから文化も価値観も異なります。両者が思う「面白い」「こんなサービスがあったらいいな」を実際の計画に落とし込むことはそう簡単なことではありませんから、たくさんの議論を重ねて着地点を見出していく作業が続きました。議論を通して常に思っていたのは、自分たちが意思決定の当事者であるということです。私はかつてM&A業務を担当していましたが、それはあくまでアドバイザーという立場です。最終的には自分たちが決めたため、決める覚悟と責任の重さを痛感しました。従来から業務における「当事者意識」の重要性は自覚していましたが、その意識がより深まったと感じています。

意思決定者に寄り添える
バンカーでありたい。
女性が活躍する場は
たくさん用意されている。

今後、何にチャレンジし、どのような人材に成長したいと思っていますか?

塚本: 学生時代から今まで、自分が「面白い」と感じたことをきっかけに様々なことにチャレンジしてきたように思います。入社後、自ら手を挙げて2年間、インドの子会社へ出向しました。この2年間のチャレンジも貴重な経験でした。どんな業務に就いても、当事者意識を持って意思決定者に寄り添えるバンカーでありたいと考えています。これは終わりがなく常に追求していくものであり、私にとってはチャレンジです。また自分も覚悟と責任を持って意思決定できる人材になりたいと考えています。

最後に、女性活躍推進やワークライフバランスについて感じていることを教えてください。

塚本: みずほ証券では、さまざまな働き方があり、許容されています。女性の活躍推進についても、まったく何の制約もありません。私自身、性別に関係なく業務に携わってきました。だからこそ大事なのは「自分がどんなキャリアを歩みたいか」「プライベートとのバランスをどう考えるか」、その上で「どのような働き方をしたのか」をしっかり考え、上司や同僚と共有することだと思います。そうすれば自分にフィットした活躍の場はたくさん用意されている会社だと思います。

取材後記 No.03|Mika Tsukamoto

聡明にして才気煥発、ぶれない信念と柔軟性を兼ね備えた女性である。学生時代はグローバルな社会課題に取り組みたい想いがあっただけに、今取り組む経営課題に対しても、舌鋒鋭く役員と丁々発止でやり取りすると聞く。スキがないような女性にも見えるが、物腰は柔らかく、その雰囲気は優しさがにじみ出ている。プライベートでは、3歳と1歳の子育てに奮闘、仕事と育児をバランスよく保ちながら充実した日々を送っている。「チャレンジすることが楽しい」と本人が言うように、チャレンジこそが塚本のモチベーションの源泉だ。